読書感想「地元がヤバい…と思ったら読む 凡人のための地域再生入門」
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わたしは教育に携わり、教科としては「社会科」が好きです。
そのためか、「社会科」という教科の枠を越えて、素人ながらも社会の動き、地域の動き、等々にも首を突っ込みたくなる……というと、活動的でかっこよさげですが、知識として頭に入れたい(つまり、知ったかぶりでしょうかね)という気持ちがあります。
読書にしても、上のような本も時々、手にします。
「地域再生」「地域活性化」「起業家」「起業家精神」「まちづくり」などは、わたしの心にビンビン響くキーワードの一つです。今の仕事を引退したら、いつかは、こういうことにもかかわれたらいいなぁと淡い気持ちもあることにはあります。(といっても、めんどくさがりのわたしのこと、仕事をリタイヤしたら、何もせずに家に引きこもること必至ですけど)。 で、この本。とてもいい本です。「地域」に興味ある方にぜひオススメします。 とてもわかりやすくてよかったです。実際に、行動を起こしてきた方が、説明文的な解説調で話をするのではなくて、小説にして話を進めていくのがよかったのだと思います。小説にすることによって、登場人物の感情、心の葛藤など、ストーリーを入れ込むことができますよね。読んでいても、小説そのものの質も高いので、登場人物(主人公)に気持ちを同化させて読み進めることができて、なるほどと思いながら、読むことができました。
この本の中で、徹底的にやり玉にあげている、といいますか、もはや「敵対視」しているといってもいいものが、国などからおりてくる「補助金」です。
スタートのお金だけを出して、その後の継続すべきお金のことを考えずに進めるからこその大問題
自分(つまり、国や地方自治体、そしてそこの関係部署)だけが、「手柄」をあげたような形にしたい。そこで活動している人、商いをしている人のことを本当に干潟形になっていない。
などが何度も何度も、強烈な形で主張されます。また、シャッター街に住む方々の当事者の問題も取りあげます。
シャッター街になり、そこで商いをしていないけれども、苦しい生活をしているというわけでもない。
シャッター街になってしまったからといっても、商いができなくて悲しい思いをしているわけでもない。そこで何らかの「地域活性」をしたいと思っているわけではない。しかし、その場からは動きたくないから、その場所はそのままの形で残っていることが多い。
お金をかけずに、安易に進めようとか、自分は責任は取らずにおいしいところだけもらおうとか、そういうことを考えているとどうにもこうにも進まないのですよね。対象自身の行為を楽しむこと、当事者になること、なのだろうなと思います。 もちろん、全部が全部、そのとおりということではないと思いますが、(わたしたちの悪いところは、こうして新しい情報を入手すると、全てがこのような状態だと思い込んでしまうところがよくあることですよね)とても説得力ある話でした。
小説風で、登場する主人公は、少し頼りなくて優しげな感じではありつつも、この本で主張していることは、対する方々へは辛辣な批判が含まれており、わたしのような素人や著者側の人たちにとってはうなずけることばかりでしょうが、逆の立場の方々にとっては逆に言い返したいこともたくさんあるのではないでしょうか。
それでも、こうして書けるということは、この著者のキャラクター(勇気がある、リジリエンシーが高い等々)や実際の自信、実績、こうしたらこうなるのだという(いわゆる)エビデンスがあるからなのでしょうかね。批判もあるであろうコトを予想しながら、しっかりと主張できる姿、わたしに大きく欠けているところなので、参考にしたいです。
「地域興し」のことを考えながら、読み進めてきたわけですけれども、読みながら、頭の片隅にあるのは、結局は「教育」のことです。「国や自治体」と「学校」との関係で似たようなことはないか、「管理職」と「一般教員」とで似たようなことはないか、「担任」と「子どもたち」との間で似たようなことはないか、あれやこれやと頭をかすめます。
そして、自分にできることは何か……。